生き残りの投資

私はあるルールに基づいて投資しているわけではない。 ゲームのルールが変わる瞬間をめがけてトレードを仕掛けるのだ。

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フラッシュクラッシュ

鈴木一之です。世界中を巻き込んだ株式市場の急落は、米国市場が6日間も大幅安を続けた後にようやく反発の動きを示しました。あちらこちらから安どのため息が聞こえてきたような気がしました。

 ギリシャの債務交渉問題で世界が緊張した時も、米国の国債格付けがトリプルAから引き下げられた時も、これほどの急落は起こりませんでした。今回のきっかけは中国人民元の切り下げでしたが、大国のひとつが通貨レベルを変更するようなことが起こったら、その時は無条件に警戒しろという大きな教訓が残りました。

 今回は久しぶりに「フラッシュ・クラッシュ」という現象を目の当たりにしました。フラッシュ・クラッシュは数分間のうちに株価が1000ドル近くも急落する現象で、最初にお目見えしたのは2010年5月です。この時は大量の「見せ玉」の手口を使ったという容疑で英国人トレーダーが逮捕されました。

 今回は8月24日でした。週明けの米国市場でNYダウが立会開始から数分で1000ドル以上の下落に見舞われました。その後は少し値を戻して、大引けでは588ドル安で引けました。ここまで激しいフラッシュクラッシュ現象をもたらしているのは、以前のような個人の詐欺的な取引によるというよりも、今では超高速取引の影響が大きいという見方が強まっています。

 米国市場の1日の取引量の7割はいまや超高速取引に占められ、日本でもその比率が5割を超えているとも指摘されています。それと最近はやりのビッグデータ解析による自動売買システムとのリンクが報告されています。

 世界中で今この瞬間に60億通以上も投稿されているツイッター上のつぶやきに、「爆発」「爆死」「火災」「死亡」などのテロ事件に連動する不穏な用語が一定の時間にある一定量以上流れると、それを検知したシステムが作動して自動的かつ大規模な売り注文が執行されるというプログラムが存在するようです。

 何かのきっかけでそのようなプログラムがひとたび世界のどこかで作動すると、今度は一定の値幅以上下落した際に、損失を回避する目的で自動的に売り注文が発注されるという別のプログラムが作動して、それが次々に連鎖することで株価の水準に関係なく際限のない売り物が続きます。

 今回の株価下落は全部が全部、このような自動プログラムによる取引が原因とは言い切れませんが、それでもかなりの部分がそれに近いのではないかと疑ってしまいます。それほどまでに突如として起こった今回の世界同時の株価急落現象です。

 テクノロジーの進化は後戻りすることはないので、今後もこのようなごく短期での急落、急騰に投資家は耐性をつけていかなければならないのでしょう。問題は今回の株価下落が、日本および世界の経済の悪化を示しているのか、どこかで景気は反転しているのか、という点です。「株価は景気に先行する」の経験則を思い起こされます。

 中国の人民元切り下げ、米国の利上げ実施の時期というメーンテーマの影に隠されてしまいますが、足元の日本の景気の状況を経済データで確認する日々がもうしばらく続きそうです。このような悪条件の下でも堅調さを維持している大成建設<1801.T>、清水建設<1803.T>などの建設セクターとともに、ビル建築ラッシュで需要の膨らむ空調関係の日本空調サービス<4658.T>、新日本空調<1952.T>、高砂熱学工業<1969.T>、大気社<1979.T>、ダイダン<1980.T>に注目しています。

[ 株式新聞ニュース/KABDAS-EXPRESS ]
提供:モーニングスター社 (2015-08-31 09:12)
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