生き残りの投資

私はあるルールに基づいて投資しているわけではない。 ゲームのルールが変わる瞬間をめがけてトレードを仕掛けるのだ。

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制御不能の原油安、国際石油市場で何が起きているのか?

世界の石油市場は1つに統合され、極めて多数の市場参加者がいるが、発展途上国を中心とする業界ゆえに生産・消費に関する統計が整備されていない。そのため、世界全体の需給動向をリアルタイムに把握することが困難である点も悩みの種である。こうした統計の不備が群集心理を発生させ投機を招きやすくしているからである。

 このため、カルテルのような人為的な調整者(例えばOPEC)がいないと、以下のようなサイクルをたどることになる。まず、いったん価格が下落し始めれば、生産者は収入を維持するために設備稼働を増やして増産する。すると、ますます価格が低下するという正のフィードバック機構が働き、生産投資が困難な水準まで価格は低下する。その後、低価格の継続により需要が増大し、供給力が不足した時点で価格が急騰しやすくなり、再び投資がなされて生産能力が増加するまで高価格が続く。そして、再び暴落するというサイクルである。

 今回の原油価格下落は経済の拡大局面で発生しており、実体経済における「需要の低迷と供給の増加」では説明しづらい。そのため、様々な陰謀論が展開されている(「サウジアラビアと米国によるロシア制裁」や「サウジアラビアによる米国のシェール潰し」など)。

 だが筆者は、真の原因は「現在の国際石油市場にプライスリーダーが存在しないため、誰も市場争いで譲らず、世界の石油産業全体が『囚人のジレンマ』に陥っている」ことであると考えている。

 これまで原油価格を高止まりさせていた「つっかえ棒」が外れ、一気に大幅な価格調整局面に入ったと考えるのが自然である。さらには、もう一段の下方水準にオーバーシュートする可能性もある。「山高ければ谷深し」ではないが、原油価格は1バレル当たり20ドル台にまで暴落するのではないだろうか(2014年8月時点では104ドルだった)。

懸念される「第2のリーマンショック」

 米国のシェールオイル企業はキャッシュフローを確実なものとするため、通常、6カ月から24カ月先までの生産分をヘッジしている。だが、従来から費用が営業キャッシュフローを上回っており、その差額をジャンク債市場で借り入れていると言われている。

 原油価格急落によって、シェール企業の増産のペースが大幅に鈍化するとの予想も出始めている。原油価格がさらに40ドル割れを起こすような事態になれば、かなりの数のシェール企業はギブアップせざるを得ず、石油市場の需給安定化の効果が生ずる前にジャンク債市場がパニック状態になる可能性がある(原油価格50ドル割れで総額3000億ドルのジャンク債が投げ売りされるとの噂が流れている)。

 さらに2500億ドル以上のシェール企業関連のレバレッジド・ローン(ハイリスク・ローン)の焦げつきも懸念視されている(ジャンク債と同様に証券化されている)。

 思い起こせば、2006年6月にケース・シラー米住宅価格指数が206.4のピークを記録した後、2007年7月から2008年7月までの1年間に同指数が急落(約200→170弱)したため、証券化されたサブプライムローン(総額1.3兆ドル)の焦げつきをきっかけに「リーマンショック」が発生した。グローバリゼーションとは、世界のある「市場」で発生した危機が瞬く間に世界中に広がる環境のことである。直近の原油安は「ギリシャのユーロ離脱」問題が一因となっているが、ギリシャのユーロ離脱の影響は「リーマン破綻ショックの2乗の衝撃度がある」と指摘する専門家がいるほどだ。

 原油安による「第2のリーマンショック」が起きるかどうかは別として、原油価格が20ドル台まで下落すれば、世界経済全体がデフレ化することは間違いないだろう。

 デフレ化により金融セクターと資産市場が大打撃を受ければ、経済は成長のエンジンを失い、尋常の手段では景気回復をすることが不可能になる。もしもそうなると「禁断の方法(戦争)に手を染めるリスクが高まる」とする安全保障分野の専門家の警告を一笑に付せるだろうか。
日本に入ってこなくなる米国産LNG

 最後に原油安が日本のシェールガス輸入に与える影響にコメントしておきたい。

 2014年12月末、米エクセレレート・エナジーは、原油価格の急落を受け、テキサス州で計画していたLNG(液化天然ガス)の輸出プロジェクトを一時見合わせることを決定した。原油安で米国のLNGプロジェクトが中断されたのはこれが初めてのケースである。同社は年間800万トンの輸出能力を持つターミナルを建設し、2018年から輸出を開始する予定だった。

 12月に入り、日本向けのLNG(随時契約)取引価格が東日本大震災前の水準まで下がっている(100万BTU当たり9ドル台後半)。その状況にかんがみ、安価な米国産天然ガスのアジア諸国への輸出計画が今後さらに中断される可能性は低くないだろう。

 日本企業が参加する北米LNG計画としては、(1)フリーポート(テキサス州、年間調達量660万トン、中部電力・大阪ガス・東芝)(2)コープポイント(メリーランド州、年間調達量230万トン、東京ガス・住友商事)(3)キャメロン(ルイジアナ州、年間調達量800万トン、三菱商事・三井物産)などがある。今後、日本への輸出が中断されることにより多大な損失を被る企業が出てくるおそれがある。それとともに、「中東依存度の低下」という日本のエネルギー安全保障にとって大きなマイナスとなることは必至である。
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  1. 2015/01/10(土) 10:44:52|
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